日常に追われ、日々に浸っていると、ずっとずっと昔に経験したたくさんの感情を、ふと忘れてしまう時があります。
先日、ずっと読んでみたかった話題の本を一気に読み終わりました。
恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。
本を読みながら、遠い昔に経験した、夢に向かう必死さ・悔しさ・飛び上がるくらい嬉しい気持ち、そんなたくさんの想いが蘇りました。
青春時代って、若い時じゃないよね、と主婦の日常に、刺激を与えてくれる本。
長編小説で少し時間が必要だけど、まとまった時間があるとき、ぜひクラッシックでもかけながら、一気に読んでほしい一冊です。
蜜蜂と遠雷
第156回直木賞、第14回本屋大賞受賞作。
史上初の直木賞と本屋大賞のダブル受賞作品とのことで、ものすごく期待して読みました。
私には、期待を裏切られない、読み応えのある本でした。
私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?
「BOOK」データベースより
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!
音楽の素養があったら、もっともっと深く読み込めるのかもしれないと、こんなにも悔しい思いをしながら読むのは久しぶりでした。
次から次から出てくるたくさんの音楽を、素人の私でも文字だけで全く違う音楽として認識できるくらいの表現力。
心から尊敬の意を評したいと思ったよ。
とても分厚く、読む前からひるみそうな小説ですが、一気に読めるのは、登場人物がみな、それぞれに魅力的だから。
各自がいろんなバッググラウンドを持ちながら、いろんな目的で、同じコンクールに臨む様子が描かれています。
個人的には、性別は違うものの「高島明石さん」に感情移入しながら読み進めました。
この本を紹介したくなったわけ
小説の中で、主婦にスポットライトが当たることはないけれど、私は私のために、この本をここに記録しておかなければと思って、今、書いています。
本の中で出てきた言葉が、今の自分と通じる一文なのかもしれないと思ったから。
毎日の暮らしの中で水をやり続ける。
蜜蜂と遠雷 (P.271)
それは暮らしの一部であり、生活の行為に組みこまれている。
雨の音や風の温度を感じつつ、それに合わせて作業も変わる。
ある日、思いもかけない開花があり、収穫がある。
どんな花を咲かせ、実をつけるのかは、誰にもわからない。
それは、人知を超えたギフトでしかない。
音楽は行為だ。耳を澄ませばそこにいつも音楽が満ちている−
この作品の中心には、たくさんの音楽があります。
バッググラウンドも、夢も、今の環境もみんなバラバラで、見えている世界もそれぞれ。
だけど、「音楽」という共通するただ1つを、みんながそれぞれに自分のやり方で追求するのです。
そしてそこに自分なりの解釈と世界観を持って、自分の生き方に紐づけている。
誰しも、私の生き方はこれでいいのだろうか?という迷いや不安にかられるときは、きっとあります。
わからないから迷って、自信がないから不安になることもある。
でも自分が進んだ道で起こるいろんなことを糧に、私も彼らみたいに何かを見つけられるかもしれない、この本を読んで、そう思わせてもらうことができました。
私が今向かい合っているのは、音楽ではないけれど、向かい合うことは決して無駄なことではないし、この先に何かが見つけられたらいいな、そんな思いを新たにしました。
人生かけて打ち込めるものを探したいな。
今からでも何か始めたいな。
そんな風に思わせてくれる本です。
自分の人生を楽しみたいと思うとき、青春時代の熱い想いを思い出したいときにお勧めの一冊です。
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